ゲームしタイチロー

ポケモンやポケモン以外のことを書きます

平沢進の音楽の中から初心者に薦める10曲を頑張って選出する

最近「自分の好きなものは積極的に発信していこう」という悟りのあった夕仟口一(エゴサ避け表記)です。

 

自分語りのコーナー(飛ばしていいです)

僕は音楽が好きなのですが(嫌いって人もそうそう居ないとは思うが)、1年ぐらい前までは聴く音楽と言ったら98%はゲーム音楽でした。東方とドンキーコングのBGMは最高。

残り2%ぐらいもアニソンだったりアニメの劇伴だったり昔の洋楽だったりしたので、変な言い方になりますが、純粋な音楽然とした日本の音楽(主に歌の入ってるもの)というコンテンツにほぼ触れずに暮らしてきたわけです。食わず嫌いという言葉がありますが、僕は別に嫌いだった訳でもなく、食ったこともなけりゃ存在も知らなかった、という方が近いです。フランス人がカツ丼の存在を知らないように(大昔twitterで見たような例えですが何のネタだったか忘れた)。

そんなパリジェンヌな僕でしたが、つい最近あるミュージシャンにのめり込み、上記の音楽シェア争いで2割ほどを獲得するに至りました。2割って言うと微妙に感じるかもですが、僕は日によっては日がな一日ずっと音楽聴きっぱなし人間なので、そのうち2割と言えば2,3時間にのぼる勢いな訳です。書いてて恐ろしくなってきた

そのミュージシャンこそが、記事タイトルにもある平沢進という方です。オタク的に言えば「けいおん!」の平沢唯の元ネタ*1と言えば馴染み深いでしょうか。

力強く透き通る歌声、壮大かつ心地よい音使い、難解ながら深い意図を感じる歌詞、独創性の塊なライブ演出、気が狂ったようなMV等々が組み合わさった独特の世界観が魅力であり、僕はすっかり沼に滑落してしまいました。まだまだ馬の骨*2の中では新参も新参ですが。

そんな平沢進ですが、最近はフジロックに出演するなどして知名度が少しずつ上がってきた印象を受けます。僕のある友人グループに意を決して聞いたら全員「知らない」と言っていましたがなので、平沢進をよく知らない、聴いたことがない、けど興味はある、という人が現れた時のために「初心者はまずこれを聴け10選」を自分の中で決めておこう、というのが本記事の主旨です。

 

本題

 という訳で、以下に僕が個人的に選別した10曲を紹介します。先に予防線を張りたい断っておきたいのですが、平沢進は非常にキャリアの長い人(詳細は書くの面倒なのでググって下さい)なので、時期によって作風が全く違っていたり、そもそも僕が全く知らない曲なんかも多数あったりします(後者は僕のファン歴の浅さが原因ですが)。なので万人に納得してもらえる選曲かどうかは保証しかねます。悪しからず。というか誰もそんな選曲できないと思う

ちなみに順不同です。

 

1.「TOWN-0 PHASE-5」(救済の技法,1998)

奇しくもフジロックの曲目と先鋒が被ってしまいましたが気にせず参りましょう。

この曲は上記のフジロックを始めとした多数のライブで演奏されている人気曲の1つで、平沢曲のエッセンスが高密度で詰め込まれた欲張りセットのような存在です。具体的には

・日本語かどうか疑わしい謎の掛け声

・どことなくアジアンテイストな音使い

・意味が分かりそうで分からない少し分かる歌詞

・多重録音による壮大なバックコーラス*3

・とにかく美しいサビ

・かっこいいギターソロ

・頭のおかしい映像

といった具合です。ぜひ映像付きで聴いて「!?」ってなって欲しいです。

2.「白虎野」(白虎野,2006)

「びゃっこや」と読みます。この曲もフジロックで演奏されていました。

これもまた平沢の代表的な曲です。民俗的な雰囲気を全面に押し出しており、サビの浄化されるような歌詞とハイトーンボイスが癖になります。

この曲には「白虎野の娘」という別バージョンがあり、そちらは今敏監督のアニメ映画「パプリカ」の主題歌として使用されています。こちらの方が知名度が高いかもしれません。

3.「Big Brother」(ビストロン,2004)

ジョージ・オーウェルディストピアSF小説1984年」(1949年刊行)をモチーフとした曲です。タイトルは同作中に登場する独裁者の名前です。

ビストロンというアルバムは全体的にテクノポップな音使い(電子音や所謂「ピコピコ」が多い)と攻撃的・風刺的な歌詞による激しい曲調を特徴としており、Big Brotherも例外ではありません。

ディストピアを全面に押し出した平沢の曲の中では非常に分かりやすい歌詞をしており、ハイテンポでカッコいいサウンドと合わせて人気の曲です。あと音域的にカラオケで歌いやすい

4.「Lotus」(Sim City,1995)

直訳で「蓮」というタイトルから察せられるかもしれませんが、仏教的世界観に深く根ざした曲です。

Sim Cityは平沢がタイに旅行に出かけた際にその文化に衝撃を受け*4、その流れで制作されたアルバムです。これを受けて曲調も「突然変異」と呼んでいい程に従来のものから大きく変化しており、同アルバムの曲は「濃い」曲が非常に多いです。

Lotusはそんな中でも一際美しい曲で、どこか語りかけるような歌い方が心地よいです。この曲を基に作られた「ロタティオン」や、この曲のアレンジが収録されたアルバムの表題曲「SWITCHED-ON LOTUS」と合わせて「Lotus三部作」と呼ばれることもあり、一部には「神曲」ならぬ「仏曲」として呼び声高いです。

5.「ホログラムを登る男」(ホログラムを登る男,2015)

平沢のソロとしては2番目に新しい*5アルバムの曲です。

映画の劇伴のような重厚な音使いが特徴の曲で、所々に挟まる電子音が良いアクセントになってどこかダークで物々しい曲調ながら中毒性が高いです。

そしてこの曲は歌詞がとにかくカッコいいです。解釈の仕方も人によって様々ですが、僕はアルバム全体に一貫したメッセージを大サビでこれ以上なく強く伝えられているような気がします。

6.「オーロラ」(AURORA,1994)

この曲も人気の高い曲で、後述しますが何度もアレンジされてライブで頻繁に演奏されています。

AURORAは「歌を重視したアルバム」として制作されており、この曲も平沢の歌声が全面に出るようにシンプルな音作りになっています。情緒的な歌詞でシンプルに「いい曲」であるため、「歌手・平沢進」を堪能したい方にはおすすめです。

この曲にはいくつかアレンジ違いがあり、

・素朴でボーカルが全面に出た原曲の「オーロラ」

・電子音を多用しテクノ調になった「オーロラ2」

・壮大なオーケストラとギターソロ*6が豪華な「オーロラ3」

が存在します。先日のフジロックで演奏された際はギターメインのアレンジが施されており、一部では「オーロラ4(3.5)」等と呼ばれていたりします。

7.「論理空軍」(音楽産業廃棄物~P-MODEL OR DIE,1999)

P-MODEL平沢進がかつてリーダーを務めていたテクノポップバンドです。残念ながら現在は事実上の解散状態となっています。完全に余談ですがだいぶ上で述べた「けいおん!」の主要キャラクター5人の名前は全てP-MODELの歴代メンバーから名付けられています。

一貫してハイテンポでハイテンションなボーカルと電子音をふんだんに使用した心地よいサウンド、そして相変わらず先鋭的な世界観が特徴です。

この曲は恐らくP-MODELの曲としては最も高い知名度を持っているのではないかと思います。その理由は曲の完成度ももちろんですが、例によってイカれたMVの印象が強いことも大きいでしょう。見れば分かります。

8.「SPEED TUBE」(P-MODEL ,1992)

P-MODELの曲の中でも特にテクノポップ全開な曲だと思います(僕はソロの曲をよく聴くのでP-MODELの曲はそこまで詳しくないのですが)。心地よい電子音の掛け合わせとサビの突き抜けるようなボーカルが僕はとても好きです。

この曲を演奏しているライブ映像を見ると、P-MODELにおけるやべーやつ鬼才は平沢だけではないのだということがよく分かります。ぜひ一度見てみてほしいです。

9.「バンディリア旅行団」(Virtual Rabbit,1991)

非常に落ち着いた雰囲気の曲です。平沢進の曲はハイテンションなものばかりでなくこういう曲調のものも非常に良いです(全肯定オタク)。

広野の遠くまで響き渡るような歌声、優しさや旅情を感じられる歌詞、魂が洗われるようなコーラスと、聴いているだけで昇天しそうな要素が満載されています。

「変弦自在」というアルバムでアレンジされており、そちらはどこか勇ましさと荘厳さを感じさせる展開となっているので、聴き比べてみるのも面白いと思います。

10.「HUMAN-LE」(回=回,2018)

現在世に出ている最新のアルバム収録の曲(ちなみに同アルバム最後の曲)です。

この曲もとても「優しい」雰囲気の曲となっていますが、こちらは未来への希望を感じさせるようなリズミカルで割と明るい曲調です。平沢の曲には珍しいCパート(と呼んでいいものか怪しいけど)があり、非常に美しく元気が出るので大好きです(語彙力の消失)。

 

以上になります。終盤語彙力が溶けてた気もしますがそっちの方が写実的でいいんじゃないでしょうか(何が)。この10曲を厳選する過程で血の涙を流しながら入れなかった曲も30曲ぐらいあります。最初に書いた通り、平沢進の曲調は多岐に渡るため、人により刺さる曲やそうでない曲もあると思うので、是非自身で波長の合う曲を探してみるといいと思います(丸投げ)。

この記事を読んで1人でもファンが増えてくれたら~的なおこがましい事は言いません。ただ自分の思いの丈を発散したかったのです。というかこの手の布教なら死ぬほどやられてると思うし

ここまで読んでいただきありがとうございました。

*1:この表記をすると精錬された馬の骨の方々から総ツッコミを喰らいかねないのですがその辺は割愛

*2:平沢進ファンの蔑称通称。馬骨、有象無象等とも呼ばれる

*3:本人は「バカコーラス」と呼んでいる

*4:俗に「タイショック」と呼ばれる

*5:微妙に語弊があるが簡略化のためこう書かせてほしい

*6:そのパワフルな音とビジュアルから「デストロイギター」と呼ばれる